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平日昼間の男たちをめぐって

司会 ぺぺ長谷川
発言者 赤井堤防、ガテマラ、神長恒一(以上編集部)
    太田澄子(26歳、無職)
    金子JUTOK(37歳、ギタリスト)
    木下忠親(29歳、連帯労組)
    木村健二(52歳、映写技師)
    しのぶ(26歳、アルバイト)
    豊田正義(29歳、メンズリヴ東京)


司会 じゃあ、こわい人から。(笑)

木下 木下と申します。「連帯労働者組合」といいまして、これは1人でもアルバイターでも誰でも入れる合同労組で、経営者以外は入れます。ただ社長でも零細企業の場合は大丈夫。その他一切の条件は問いません。組合にはクビになってから入る人が多いので、いろんな交渉やビラまき、平日昼間系の人々の相談をしてるんで、僕自身は全然平日昼間ではないですね。

司会 果敢に戦う平日昼間。ま、総じて平日昼間の男女のみならず、諸々な生活形態の人々の味方になろうとしていると。

木下 味方というか、一緒にやりましょう、息苦しい状況を変えましょうと。

豊田 僕は職業はフリーライターで、運動としては「メンズリブ東京」という市民グループを昨年の4月に作ってボチボチ活動してます。

司会 JUTOKさん自身は一貫して労働の方からは遠ざかっていらっしゃる……。あ、でもこれは労働の概念の問題になってくるね。

JUTOK ギターを弾くという意味では昼夜の区別なく、弾きたい時に弾く。

木村 木村です。ま、僕は映写技師という仕事をしてまして、基本的に閉じ篭りたいと思ってああいう仕事している。自分1人でいることの快楽はずっと感じていたんだけど、年とってくると、やっぱり伴侶が欲しいなとかいろいろ。(笑)昼間歩いていて風がビューツと寒いとか。(笑)

司会 平日昼間の風が。(笑)

木村 ま、自業自得と思いつつも、これからどうしようと考えているとこ。大体、昼間は寝てるんですけど、やっぱり飲むから。なぜ飲むかというと、やっぱり寂
しいから飲むんで、酒がうまいからではなくて、酒でごまかしている。

司会 今の仕事はずっとやってらっしゃる?

木村 もう30年ぐらい。23歳ぐらいで入って。

太田 えと……太田と申しますけど、と、……今日初めてなんで、緊張してんですけど(笑)……えーと、えーと、え、あの……え、あの、なんだろ、学生じゃないんですけど、バイトしてないんですけど、えと、高校中退なんですね。それで、ま、ちょっといろいろ神経症みたいのになって、で、今26なんですけど、ま、なにもしていなくて。え、東京じゃないんで、ちょっと不便。住んでるとこは両親と一緒なんですけど。

司会 平日昼間をエンジョイというわけでもなく?

太田 バイトとかあんましたことない、外に出ることがあまりできないっていうか。

ガテマラ 何をやってるんですか?

太田 いや……、あの……、うん……。

司会 ま、思いめぐらせる、(笑)思索にふける日々と。

ガテマラ 今の状況を続けててプレツシャーみたいなのはありますか?

太田 ええ、それはあります、うん。

ガテマラ 「わたしは女だから」というので、ちょっとマシかなっていうのは?

太田 それはあるんですけどね、でも女だからって言われて片付けられることが多いから、ま、いいんじゃないのって言われるんですけどね、そうじゃないですね、やっぱりね。

赤井 だめ連の赤井といいます。僕も積極的に平日昼間をエンジョイっていうのじゃなくって、なかなかアルバイトとか続かなくって、社会不適応気味なのかなっていう感じです。障害者の専従介肋っていう仕事をずっとやってるんですけど、週の半分以上は働けないっていうのがあって、週4日くらいは平日昼間やってます。でも、あんまり楽しめてないのが現実なんですけど。去年の9月に仕事をやめて、ここ半年ぐらいは1週間に10時間未満という労働時間をキープして、(笑)それでけっこう精神的に追い込まれたというのが多いですね。暇なだけに1人で考えてしまって深刻になることもけっこう多いっていう。

司会 平日いる場合は寝てることが多いんですか?

赤井 ま、寝てるか、座ってるか。

一同 爆笑。

赤井 平目昼間ということでいったら、就職水河期とかいわれてて、これから景気もバーンと上がることもないだろうし、平日昼間の男たちが増えていって、いわゆるダメ系の人もある程度社会的に力を持てるようになるのかなあ、というかすかな期待を抱いてるんですが。僕も来月から仕事を始めるんで、それで時間の余裕がなくなってあんまり深刻に悩むこともなくなるかもしれないですね。でも仕事で時間をつぶしたいんだけど、週の半分以上は働けないということかあります。

司会 まじめな青年だね。(笑)こんなことになるなん

ガテマラ ガテマラです。考えてみたら去年バイトしたのは2ヵ月だけで、あとの10ヵ月はブラブラしてることが多かったです。そのうち3ヵ月は「地球の歩き方」というガイドブックの仕事をやってたんですけど。就職しようとは考えているんですが、でも僕はスーツを着たりとか普通のサラリーマン生活はどうも合いそうもないんで、比較的残業とかもなくて、服装なんかもラフでいいようなのをさがしているうちに時間がたってしまったというかそういう状況なんですけど。悩みとしては、時々アパートの廊下を掃除する大家さんに会うのがこわい。(笑)で、息をひそめて、(笑)テレビを消してしまう。それと、どうしても昼夜逆転生活になってしまう。昼の1時に起きて人生の落伍者かっていう悩み(笑)が生まれたりします。

司会 私はぺぺなんですけど、ずっとバイトをしてるんですけど、簡単にいうと平日昼間の男が社会的な視線でキビシイというのはありつつも、えてして交流してると平日昼間の男女たちですか、その人々の醸し出すダイナミズム、そういったものに引かれてしまう、そんな側面もあったりして。私なんかも配達のバイトしてて、郵便局のおじさんとかに「オメー、どーすんだ。ルンプロの時代じやねえだろ、就職するなら口きいてやるぞ」といわれて心がぐらっと揺れたりもするんですけどね。そのへんで平日昼間の人々に引かれつつも、定職にも引かれる、そんな瞬間もある。どうなっていくのか激動の96年。(笑)

ガテマラ それをおしとどめているものは何なのですか。

司会 それは今たまたまバイトが続いているというそれだけの理由です。外圧によって私の人生が変わるんでないか、とみているんですけど。今日の座談会は自分自身の問題としてもエンジョイしたいなと。

神長 今まで話聞いてると大体みんな平日昼間の人なんだけど、どこか後ろめたいというのが大半ですね。JUTOKさんとか木村さんとかは大御所という(笑)か、ステージが違うんだけど、(笑)ボクの場合もぜんぜん後ろめたくないっていうか、要するに楽しくてしょうがないという。

司会 恍惚派ですね。

神長 今、週に3日バイトしてるんですけど、それがもうつらくてつらくてしょうがなくて、結局1月でやめることになって、2月から仕事ゼロになるんで、楽しみというか、今でも休みの日とか昼間ぐらいに目が覚めてふとんに入ってるじやないですか。で、「あー今日は休みだ」と思うと、私、矢沢永吉好きなんですけど、矢沢永吉はよくライブで「サイコー、サイコー」って、盛り上がってくるとやるんですよね。それを朝目覚めて、休みの日はふとんの中で「サイコー、サイコー、サイコー、サイコー」とこれを10分くらい連発。(笑)「最高に生きる会」かっていうね。(笑)まあでも、ほんとに仕事さえなくて平日昼間まったりできれば最高に生きられるね。実際、いろいろ交流してると確かにつらいって人も割といるんですけどね、一方で平日昼間が当り前っていうか、それがスタートラインになっている人がゴロゴロいて、それでそういう人がすごく楽しく生きてる、明るく生きてるという現実もあります。で、魅力的な人に平日昼間働いてない人が圧倒的に多いと。平日昼間をおすすめしたいなと。推進派です。

しのぶ しのぶです。仕事は美術モデルといって絵のモデルのアルバイトをやってたんですけど、冬はちょっと仕事がなくて、今は夜の12時から朝の5時まで池袋のパブでホステスをやってます。平日昼間は家で寝てるんですけど。この企画については初めに「平日昼間の男たち」って聞いていて、でも太田さんが言ったように女性でもやっぱりそこで何も生みださないことのプレッシャーというのはあるんで、「男たち」というふうに区切らないで欲しいなという気がします。私、子どもがいるので、(条件が合う)仕事がなくて困っているみたいな話をすると、「でも主婦なんだからいいじゃない」というのを必ず言われて、男/女と分けるのもいやだけど、既婚だからといってあなたは何もしようとしなくていいんだという風潮に反発を感じてます。派閥的にいえば私は恍惚派だけれども、でも社会的なプレッシャーはすごく感じてるという感じ。

司会 ま、一通り自己紹介は終わりましたね。

神長 この間、だめ連ホットラインに、コンピューター会社の仕事が続かなくなって精神的にかなりキビシイ状態で、最近ようやく立ち直りかけてきたという人から電話かかってきた。「平日昼間一緒に遊んでくれる人いませんかねえ」っていうね。

木村 自分の再生産以外にやりたいことがあるから定職に就かないのか、やれないから就けないのかということでもずいぶん違うよね。

司会 神長くんの場合、サラリーマン経験を経て「やってられるか」というのが強くありますからね。

木村 表現活動をやりたいと思うと、表現活動というのは画一化された再生産からは疎外されてしまう。そんなとこにいたら自由な表現なんかできないよね。

神長 そういうのよりも、まあとにかくヤダというのがありますよ。別に表現活動とかっていわなくても、就職してると時間的にも体力的にも自分が考えている人間らしい生活はちょっと無理かっていうね。

木村 確かに。

JUTOK 就職しなきゃいけないなんて、そういうことはないですよ。

木村 っていうか基本的には、いやなことはしないほうがいい。だからできるだけ働かない方がいいとボクは思うんです。でも、働きたいと思っても働けない人は悲惨ですよ。

司会 それが一番キビシイんですよね。メンズリブ東京はわりと不安派……。

豊田 だから不安派から恍惚派へいくのがメンズリブ。うちの会からだめ連に流れていけばいいんだよね。だって「遊んでくれる人いませんか」っていうのは相当解放されてるよ。大概、いじいじして家から出られない。

木村 ところでそのメンズリブってたくさん連絡くるんですか?

豊田 会合には50人くらい来ますよ。電話では、専門家じやないからあんまり大したこと言えないけど、とりあえず友達・仲聞つくった方がいいんじゃないかと言うことぐらいしかできない。

神長 だめ達ホットラインにもよく電話きますよ。

ガテマラ 頻度は?

神長 週に1,2本だけどね。(笑)で、話をしてて交流とかに誘うと、1対1で会いたいっていう人いますね。集団は苦手だって。

豊田 グルーブ交流できないっていう人いますよ。
                               
ガテマラ 仲間がいるかどうかは大きいですよね。

司会 大きいですよ。木村さんみたいな人が1人いるかいないかで大きく変わる、心の持ちようが。

赤井 平目昼間恍惚としている人をみると勇気がわく。

司会 ウヒャヒャヒャヒャ。(笑)

しのぶ 就職しなくても障害者の介助で週3回働けばけっこういい金になるという道はあんまりオープンにされてないじゃないですか。美術モデル3時間で9800円とかも誰も知らない。

木村 できるだけ非生産的なことでお金がもらえるならその方がいいと思う。とりあえず企業みたいなのに荷担したくないとボクは思ってるんで。

豊田 なんか男だとか就職しないと食っていけないという刷り込みがあるじゃないですか。そうじゃなくて、そこから降りても生きていけるんだよという情報が欲しい。ガイドブックとか出したら売れるよ。

司会 具体的なね。だめ連ブックレット。

ガテマラ そこで出てくるのが老後と結婚ですよね。

木村 ま、それはちょっと今、オレ……。

数名 爆笑。

ガテマラ だってバイトでは自分1人はなんとかなるけど、じゃあ60,70になって大丈夫なのか、年金はもらえるのか。

司会 これは必ず出てくる問題。

JUTOK そこまで考えてたらさー、なかなかねえ。それは間近になった時に何らかの解決策みたいなのを自分で作んなきゃならないと思うの。

ガテマラ だけど、新宿の駅で寝ている70くらいの人を見るとやっぱ不安になるじやないですか。

木村 うん、でも彼らがどうかということになると、わかんないですよ。彼らに訊いてみないと。

神長 例えば芝居とかやってるとね、アングラ劇団とかだったらさ、平日昼間の人が前提なわけでしょ。ネットワークができてて、グループがあるから仕事とか実際のこういうバイトがあるよという情報とかあって、お互い助けあって、あんまり強くない人でもみんなでやっていけるんじゃないか。

赤井 俺、ホームレスの支援に行って先輩(ホームレスの人の意)と話すことよくあるんですけど、孤立を自分で選んでいるわけでもないし、働かないわけでもないんです。孤立しちゃって、しかも働けない。

木村 自分でそういうのを選んだ人っていうのはあんまりいないんですか。

赤井 ほとんどいないです。働きたいといつも言ってます。

司会 私も本当にそう思っているのかという部分はあるんですけど、自分もこうなるかなっていう部分で時々足を運んでいる。

神長 平日昼間を語るときに重要な問題で、社会からのプレッシャーがある。

JUTOK そういう意味じゃ、「労働しなきゃならん」という暗黙の掟みたいなのがあって、それが日本の収容所性っていうかね。

ガテマラ 世界にはいろんな価値感があって、日本の価値感が絶対的なものではないと頭ではわかっていても、やはり親とか友達とかの重圧があって、なかなか貫けない……。

ガテマラ 太田さんなんかは女性の立場でブレッシャーみたいなの、ありますか?

太田 ……プレツシャーっていうほど外出てないんですけどねえ……、外……出たくないっていうか……ありますけど…。

司会 さっきの赤井さんの寝てるか座ってるか、そういう感じですかね。

太田 そうですね……。

司会 すると人生全般に想いが巡るというか……。

太田 そうですね……でも、……人生……そういうの考えるといやになっちゃうから(笑)……。

司会 だめ連でも神長がある雑誌に手紙を出したら手紙が20通も来たんですよ。そして驚いたことに1つを除いて全員が女性。で半分くらいの人が平日昼間の女性かなという。

しのぶ そうなんですよ。それを女性だからいいじやないかとか、結婚してるからいいじゃないかとか分けちゃうところに自分たちをまた息苦しくさせてる側面があるんじゃないですか?

豊田 うちにかかってくるのも意外に女性が多い。そういう男性と知り合いたいと。

神長 オーッ!

しのぶ それは私も思いましたもん。

司会 これは……平日昼間の男女ネットワークの萌芽が……。

しのぶ フェミニズムとかやってると、一旦、男社会から落伍した人じゃないとわかりあえないんじゃないか、何も疑問を感じないでバリバリ働ける人には何を言ってもムダだと思っちゃうんですよ。「俺はだめだ、働けない。男らしさってキツイよ」と言ってる人じゃないとこちらを抑圧してくるから……。

木村 やっぱり人と同じだと安心するし、違えば不安になるよね。

しのぶ 逆にこういう場にいると、就職するとかいうと「お前もとうとう……」とか逆プレッシャーがかかる。べぺさんなんかと話していると、私が「水商売してて結構楽しい」とか言うと「楽しいとはいえ金のためにやってる労働で……」とかっていう議論になって、あれってよくないと思うんですよ。「楽しいとはいえJUTOKさんは金のためにギターやってる」ということにはならないでしょ。だからその人なりの生活の中で、それが賃労働であろうとなかろうと、やりたいことをやっていくというのはね、認めていかないと。

司会 まあ部分的には当たってますよね。

しのぶ そりゃ部分的には当たってても、そんなことを言って何になる、とか思うんですよ。

司会 そーですね、難しい問題ですね。宿題にします。

しのぶ もしここにぴったりな条件でサラリーマンができる人がいたとして、そういう人を「結局サラリーマンだからすごく規制が多くてかわいそう」とかって断罪するみたいなことはしない方がいいと思う。

司会 それはできませんよ。こっちがしたって、「お前はひがんでいるだけだ」とか言われる。そういう場合には雰囲気を察知して私は言わないから、姑息。(笑)

豊田 サラリーマンできろってすごい才能だよね。僕なんて満員電車に朝早く乗って、それだけでいやになっちゃうもん。でもやめて何するって、何もすることない人もいるからねえ。(笑)

ガテマラ やっぱり、やりたいことは特になくて、少数派でいることに耐えられない人は働かざるをえないですよね。

豊田 相当に追い詰められないとサラリーマンの人は自分を省みない。

JUTOK 缶コーヒーの宣伝みたいのが多いわけですよ。「男のやすらぎ」とか。あれって結局……。

ガテマラ 頑張れってことですよね。

司会 そこで「平日昼間、捨てたもんじやないです」って声をあげる人がいた方が、ある部分では明らかにいいと思うんですよ。少なくとも即、中央線飛び込みにはならないのではないか。

JUIOK まあ自然な分業なんだよ。平日昼間働かない人が出てくるっていうのは。そういう社会に対するアンチってのは必ずどこかで出てくるわけで、それが過酷な時代だったらまあ…。

豊田 家にもいられないって人がいるからね。会社にも行けないし。陰湿なイジメがあって、大人の社会のイジメってすごいから。で、家に帰ると男のメンツでだめでしょ。で喫茶店に1日いたりして。もう本人はノイローゼ気味で働けないんだよ。

神長 他に居場所がないからね。下らないイジメだったら辞めればいいんだけど、辞めて他があると思えなければ居ざるをえないから。

豊田 辞めるのってかなり気合いが要ると思うのね。だから多くの人はそういう気すら起こらない。

JUTOK 現代の病巣ですよ。

木村 植木等のスーダラ節を観せればいんですよ。(笑)

司会 でもあのへんの映画は高度成長期につくられてますから。(笑)

しのぶ これから平日昼間界にデビューしたい人に何か力になること、背中を押してあげるこを話し合ったらいいんじゃないですか。何か具体的な知恵とか。

司会 そうですねえ。特異な話が多かったですからねえ。ハードル高いですよねえ。ベテランの話から入って。

しのぶ 多様な作戦とかこれでいいんだという精神的な言い訳があったら……。

司会 まあ私としては男女間の友情をお勧めしますね。やっぱりカップルになって結婚して子供を産んでひとかどの家庭を運営しなければならないというプレッシャーを受けている例を見受けますが、まあちょっとあれはキビシイと。男女間の友情があれば、時々デート、あわよくばプレイ、あと集団保育とかに参加すれば子どもとも遊べると。そういうライフスタイルを1つ考えてみてもいかがなものかなぁ、なんてね。

赤井 それで経済的にどうやってやっていくの?

司会 バイト問題ね。それはそれでい項目になりますよね。

木下 いい案があるよ。家政婦紹介所という労働者派遣センターを作って、じいさん、ばあさんや病人のところに派遣する。そういう人は行政から券が出てるからそれを金にする。

司会 なるほど、1つの具体的な案が出ましたね。

赤井 ヘルパーじゃ週に5、6日働かないと食っていけないよ。

司会 うん、週何日働くか問題がからんでくるな。もう結婚はいいやと思えば週2、3日という発想もでてくるでしょ。この前『アエラ』に載っていた記事で、集団でアパートを借りて1人週2日働いてそれでみんな生きていくというね。

神長 この前の座談会でも言ったんだけど、「月7万円論」というのを俺は唱えていて、それはまあ俺のような男性シングルでいうと、交流費、家賃、食費を併せても7万もあればやっていける。ムダ使いさえしなければ。やっぱり家賃は大きいですね。

司会 私白身、ここラスタ庵で個室はないものの月2万程で住ませてもらっているわけですけど、他にもこういうニーズがあると思うんですよね。とりわけ就職できない若者とか。そういう人が実家に住んでいても毎目親とケンカ。まあ、10年それでいけば認められるということもあるんですけどね、一方では。最初はきついよね。

神長 家賃はちょっとした気分の問題で月2、3万違うというのは大きい。あとは裏技がいっぱいある。というのはネットワークということで、それさえあれば住宅、仕事、人間関係、トークなんかがいくらでもついてくる。

JUTOK 個人主義的にやっていくというのであれば、廃バスを買ってそれを河原に置いて住むというのもある。

神長 私の友人のハナちゃんという人は、友人の大工さんに河原に家を建ててもらって、そこで住んでました。

司会 まあ、これはハードルが高いですね。かなりの気合いとキャラクターが必要になる。いきなり河原はキビシイという人は多いと思いますね。
 結局、読者の方がここまで読んできて、一番気になるのが保険、老後だと思う。

神長 これはうろ覚えなんだけど、上野千鶴子の「女あそび」という本を読んでいたら、既婚の女性だちなんだけど、老後は女同士で集まってグループホームで生きていこうという人たちもいると言っていた。

JUTOK そんな先のことを考えてもしょうがないんじゃないか。

赤井 社会の状況も変わってくるだろうし。

JUTOK 多少の不安かおるのは仕方ないんだよね。一般的なあり方から外れるというのは。

しのぶ 実はちょっとした保険のためだったりするんですよ。サラリーマンでもずっと病気だったらクビを切られたり、全然保障がなかったりしますからね。

木下 生活保護は絶対なくならないから大丈夫ですよ。

木村 オレなんて保険も年金も何も入ってないよ。借金は300万ぐらいある。

一同 ヤッバイですねー。(笑)

司会 読者の方はこれを読んでますますやめようと思うよ。

豊田 歯が痛い時はどうするんですか?

木村 我慢します。

一同 爆笑

司会 それはキツイよ。かなりの決意性がねえ。

赤井 平日昼間でもやっていけるよって読者に訴える時に、歯がいたくても我慢しろじゃ説得力がない。

神長 JUTOKさんのイロでいえば、「歯が痛ければ酒を飲め」と。

JUTOK 歯なんか抜いちやえばいいんだよ。

赤井 これ読んだ人は、自分にはムリだ、やっぱり働かざるをえないって思うんじゃないか。

JUTOK いや、それで働くんだったらそれでいいんですよ。だめっていうのはそんな簡単なものじやない、気合いが要るんだから。

司会 働くも働かないのもキビシイのは同じなんだよ。それは自分なりに考えるしかないんだよ。

神長 1つ言えるのは、平日昼間系、セミホームレス系の人がたくさんいるってこと。読んでいる人に言いたいのは、君ひとりじやないってこと。

赤井 えてしてそういう人ってひとりでいることが多い。

司会 でもいたずらに勇気づけるのもねえ。いい面も悪い面もちゃんと提示して、それで判断してもらうと。

JUTOK どのような形にしても生き抜くことしかないってことですよ。死ぬまで。

神長 それでは最後に1人ずつ平日昼間思想を語っていただいて。

JUTOK 日が沈むまで、呼吸が続く限りやっぱり生きなきゃならんと。

木村 うーん、すごいなあ。そんなこと言うの? お前。(笑)平目昼間っていうのは罪悪感みたいなのもあったよ。それがまた快感になってきたんだよね。まあ不良は不良なんだから、あんまり社会から認められようなんて期待しない方がいい。

神長 50代にしてつっぱってるっていうね。

赤井 今回の座談会の主旨としては、こういうところに来れない人に可能性を提示することが目的だったと思うんだけど、今までの話を文字に起こすとかなりキビシイと思う。(笑)

太田 今日は、初体験で、あんまり話せなかったんですけど……、やっぱり……こういうとこに出られるというのはいいことですよね。

ガテマラ 今日参加してどうでした?

太田 ううん……面白かったです。でも……言うことがまとまんなくて、……出、出慣れてなくて……。

神長 言えないってことが重要だよ。きっと読者の共感を呼びますよ。

ガテマラ 僕はですね。学生時代の友達や、そのまた友達の話なんかを間いていると、僕と同じ位の年齢で年収650万位あったりするんですよ。そのかわり1日13時間前後は働いてて。僕はそれと比べるまでもなく収入は少ないんだけど、割と自由な時間をもてて、音楽聴いたり、本読んだりして、お金はなくても割と充実してる部分もあるんですよね。だからバリバリのサラリーマンや極端なプーでもなく、その中間の地点である程度働いて、経済と自由な時間を両立させるのが僕にとってベストじやないかと思います。

司会 そうですねえ、私自身、今現在かなりパンパな生活していまして、平日昼間、12時前にはまず起きない。そういう恵まれたバイト環境でありながら、バイトが辛い場合もあると。定期的なものに引かれもしながら、でも平日昼間系のライフスタイルに憧れてしまう部分もぬぐえないですね。まあ、これから私の生き方を決定するのは外圧だろうと思います。

神長 自分からどうするってやったことないからね。

司会 笑い話を1つ言っとくと、私がバイトしてる飲み屋に全共闘世代のおじさんが来て、「君、バイトしてんだ。ふーん、ま、いいんじゃない。おれだって何歳で仕事ついたかなんて覚えてないよ。いいかげんなもんだよ」なんて言って、「で、今何歳なの?」て訊くから「29なんですけど」って答えたら「えっ……」 っていうね。(笑)

ガテマラ 硬直しちやって。(笑)

司会 この辺が世間ってものが見えるっていうか。それで30問題ってのもまたあると思うんですね。

神長 30っていうありもしない線を勝手に作るっていうのはだめだよね。あと、だめ連的なことを言えば「おれはこれだ」っていうのが何かいけないってゆうのはよくないな。

司会 これはオウム問題にもつながってきますよね。でも実際やりたいことはあっても大体金につながらない。(笑)ということで次の人。

神長 平日昼間が当り前っていう世界がいっぱいありますからね、メンズリブ東京、だめ連とかいろいろありますから、楽勝ですよ、って言われてもピンとこないから、(笑)まあ電話してください。トークしましょう。あとはネットワークですよね。会社、家庭でごりごりとなってる以外に週1、月1でも集まれる場所があれば、体は自然にそっちに行ってしまう。体は正直っていう。(笑)

しのぶ ライフスタイル的にはガテマラさんに私は近くって、そこそこ何かの手段でお金を得つつ、社会的大義名分もたてて、で、いくばくかの余裕があればという生活を理想としていて、あとは神長さんが言ったみたいなだめ連的な交流もほしい。私、夜の12時から働いていて、他の女の子たちは8時から出ているもんだから、「昼間働いてんの?」ってきかれて[働いてない」「じゃ何やってんの?」「交流とか……」「ハア?……交流って何すんの?」「いやぁ、トークとか……」「トークゥ?」って。(笑)

司会 ますます意味不明っていうねえ。(笑)

(『にんげんかいほう』7号より転載)