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生活世界の植民地化に抗するために――横断性としての「民衆的なもの」再論―― 小田亮

はじめに ピエール・ブルデューは、「『民衆』の用途」という短い論文で、民衆文化の研究者が「階級的エスノセントリズムと、その転倒した形に他ならないポピュリズムとの板ばさみ」に陥っていることを指摘しながら、「ポピュリズムとは、〔民衆というものの…

講義 ポピュラー・カルチャーと流用 小田亮

1.ホガートとアドルノの大衆文化批判と「二層モデル」 カルチュラル・スタディーズの生みの親の1人であるリチャード・ホガートは、『読み書き能力の効用』のなかで、イギリス労働者階級の「伝統的な民俗文化」の没落を指摘する(ホガートが本当の「民衆文…

ポルノグラフィの誕生――近代の性器的セクシュアリティ―― 小田亮

1.はじめに この小論で扱うのは、性の歴史において、ポルノグラフィの介入が、セクシュアリティの様相をどのように変えたのかという「問い」である。議論の出発点には、歴史的・人類学的に見たポルノグラフィの特性はオナニズムと切り離して考えることがで…

日常的抵抗論 終章 民衆的なものと敗北の場所 小田亮

epub PDFで読めます 1.敗北の場所からの抵抗論 社会言語学者の田中克彦氏が、「『国民文学』を通じての『世界文学』の普及は、もはやそこに参与することが絶望的となった文学的落伍者を作り出した。その文学的落伍者とは、まず何よりも言語的少数者、ある…

日常的抵抗論 第7章 「物語」の連鎖と日常的抵抗論 小田亮

epub PDFで読めます 1.大きな物語に抗する「小さな物語の連鎖」 民族やネイションを比較的新しく発明されたもの、あるいは構築された虚構ととらえる構築主義は、ナショナリストたちがネイションは自然のように実在するものであり、その伝統は昔からずっと…

日常的抵抗論 第6章 女性的エクリチュールと生活の場の戦術 小田亮

epub PDFで読めます 1.模倣としての女性的エクリチュール マイノリティの「アイデンティティの政治」をめぐる反本質主義(構築主義)と戦略的本質主義の対立について、カルチュラル・スタディーズ、とくにスチュアート・ホールとポール・ギルロイは、興味…

日常的抵抗論 第5章 戦略本質主義の陥穽と戦略/戦術 小田亮

epub PDFで読めます 1.「伝統の発明」から「文化の客体化」へ すでに触れたように、「伝統の発明」という言いかたは、1983年に刊行されたエリック・ホブズボウムとテレンス・レンジャーが編集した、イギリスの歴史家たちによる論集の題名『伝統の発明 T…

日常的抵抗論 第3章 関係の過剰性とセミ・ラティス構造 小田亮

epub PDFで読めます 1.災因論の物語と代替不可能な関係 ベネディクト・アンダーソンのいう、想像のスタイルで区別される「共同体」について述べてきたが、ネイションという「想像の共同体」はなぜ必要とされているのだろうか。いいかえれば、「国民」とい…

日常的抵抗論 第4章 オリエンタリズム批判と近代のアイデンティティ

epub PDFで読めます 1.オリエンタリズム批判と啓蒙主義的主体 序章でも紹介したが、現代の文化人類学の本質主義批判に大きな影響を与えたのが、エドワード・サイードの『オリエンタリズム』による、近代西欧のオリエンタリズム批判だった。「オリエンタリ…

日常的抵抗論 第2章 原初的紐帯と想像の共同体

epub PDFで読めます 1.差異の連続体と「原初的紐帯」 前章で、文化の異種混淆性に注目するときに重要なのは「境界や起源に先行する異種混淆性」という視点だと述べたが、そのような異種混淆性が具体的にどのようなことなのかを、「民族」というまとまりを…

日常的抵抗論 第1章 異種混淆性とクレオール

epub PDFで読めます 1.境界や起源に先行する異種混淆性 序章で、近代システムに包摂された生活の場における日常的実践およびそれを支えている「共同体」を探るという本書のねらいのために、近代知と実践知、戦略と戦術(ド・セルトー)、栽培された思考と…

日常的実践論 序章 日常的実践と〈顔〉のあるつながり

epub PDFで読めます 1.日常的実践と共同性への注目 本書は、日常的実践においてはたらく思考――「野生の思考」や「実践知」などと呼びうる思考――が、現代社会においてどのような意義をもつのかを明らかにしようとするものである。結論を先取りしていえば、…

生活の場としてのストリートのために -流動性と恒常性の対立を超えて その2  小田亮

その1へ戻る PDFで読む 5 流動性と恒常性の戦場 市場経済と共同体の対立は,流動性と恒常性の対立に重なり合う。樫村愛子は,『ネオリベラリズムの精神分析』という本(樫村 2007)の「はじめに」で,つぎのように述べている。 社会の流動化が進むことで,…

生活の場としてのストリートのために -流動性と恒常性の対立を超えて その1  小田亮

PDFで読む ストリートを日常的な秩序から解放される「出会い」の場とする見方と,それを資本主義的な流通と消費の編成によって支配された場であるとする見方がある。しかし,19世紀前半までのパ リのストリートは,その 2 つのストリート観とは違って,人と…